愛犬の肥満を今年こそ解消したい!そんな方へダイエットの方法をご紹介しています。
肥満の定義と原因
肥満は、消費カロリーより摂取カロリーが上まわり、オーバーしたカロリー分が脂肪として蓄積されることによっておこります。
一般的に標準体重より15%以上オーバすると肥満となります。例えば、1.6kgの超小型犬だと240g以上オーバーすると肥満となります。
ボディ・コンディション・スコア(BCS)
標準体型かどうか確認するために、現在の体型が痩せているのか、標準なのか、それとも肥満なのか把握をする必要があります。犬の場合には、体型を見たり直接体を触れることで肥満レベルを測ります。その指針をボディ・コンディション・スコア(BCS)といい、5段階で肥満かどうかを評価をします。
スコア | BCS1 痩せ |
BCS2 やや痩せ |
BCS3 理想的 |
BCS4 やや肥満 |
BCS5 肥満 |
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状態 | 肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪が分からない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。 | 肋骨が容易に触る。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。 | 過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。横から見て腹部の吊り上がりが見られる。 | 脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれは見られるが、顕著ではない。腹部の吊り上がりはやや見られる。 | 厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、むしろ垂れ下がっている。 |
引用環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」
肥満を防ぐためには定期的にBCSを測ったり、定期的な体重測定を行い体重の増減を見て、日常において肥満にならないように注意をしておくとよいでしょう。
肥満になりやすい犬種
犬種によって肥満のリスクに差があります。元来狩猟犬や牧羊犬などの運動量が多い環境で適応するためにブリーディングされてきた犬種は、運動不足からくる肥満になりやすい傾向にあります。太りやすい犬種の場合には、より体重管理に気をつけましょう。
小型犬
長毛種のダックスフンド(カニンヘン・ミニチュア・スタンダード)、パグ、キャバリア、ケアーン・テリア、柴犬
中型犬
コーギー、シェルティ、ビーグル、コッカー・スパニエル、ウェスティ、バセット・ハウンド
大型犬
ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー
太りやすく痩せにくい体質「細胞増殖性肥満」
また、脂肪組織が発達する子犬の時期(4~5ヵ月齢から)に肥満になってしまうと、脂肪細胞の数が増える「細胞増殖性肥満」になります。一度増えてしまった脂肪細胞の数は減らすことができないため、成長期に肥満になってしまった場合には、太りやすく痩せにくい体質となってしまいます。この時期の体型コントロールをしっかり行う事が重要です。
肥満と避妊・去勢手術
避妊・去勢された犬は、していない犬の比べて肥満になりやすく、避妊された犬とされていない犬を比べると2倍体重過剰になりやすいと言われています。
ダイエット(肥満解消)の必要性
肥満は様々な病気の直接的・間接的な原因になります。下記の病気は肥満により発病したり、悪化する病気の一例です。
- 心臓病・血管疾患
- 関節炎・関節疾患
- 皮膚疾患
- 糖尿病
- 高脂血症
- 副腎皮質機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
- 麻酔合併症
- 転移性細胞癌(膀胱)
そのため、肥満を解消することで肥満が原因あるいは悪化させる恐れのある疾患のリスクを下げることが出来ます。
肥満と寿命
2013年にウォルサム研究所ペット栄養学センターから発表された調査結果において肥満と寿命の関係について報告がされています。
ウォルサム研究所ペット栄養学センターの新しい研究によれば、肥満は犬の寿命を縮めます。米国全土の広範な人気犬種に関するデータは、中年期に肥満している犬は理想体重の犬よりも短命となることを示しています。具体的な数値を示すと、肥満犬の寿命は、理想体重の犬より最大で10ヶ月短くなることが分かりました。この研究は肥満犬の将来に及ぼす影響を示すとともに、飼い主がペット犬を健康な体重に保つことの重要性を浮き彫りにしています。
ウォルサム研究所ペット栄養学センターの主任研究員であるカリナ・ソルトは、次のように述べています。「幅広い種類の人気犬種からさまざまな体型と大きさの犬を選んで調査を行った結果、肥満犬は短命の傾向にあることが分かりました。この傾向は特に、ラブラドール、シーズー、アメリカンコッカースパニエル、ゴールデンレトリバー、ビーグルの5犬種で顕著に見られます。」
適正体重を維持することは寿命を伸ばすことにつながります。
ダイエットの方法
肥満を解消するには、消費カロリーを増やすか、摂取カロリーを減らすかの2つの方法しかありません。言うは易く行うは難し、と思いますが、まず消費カロリーを増やす方法をご紹介していきます。
消費カロリーを増やす(運動をする)
消費カロリーを増やすためには運動をする必要があります。散歩をしたり、遊ぶ時間を増やすことで消費カロリーを上げることができます。また適度な運動とバランスの良い食事を与えることで筋肉量を増やすことができ、その結果基礎代謝量(何もしないでも消費するカロリー)が上がり太りにくい体を作ることができます。
1日辺り20分ずつ2回の散歩は減量に推奨されています。心臓疾患や関節疾患等の持病がある犬については、体調を見ながら運動量を調節しましょう。また、散歩は愛犬の健康にとっても飼い主様の健康にとってもよいプログラムです。
また重度の関節疾患がある犬は散歩をすることが難しいため水泳で運動することが推奨されますが、犬用の水泳専用施設を利用するためにはコストがかなりかかります。
摂取カロリーを減らす
消費カロリーを増やすだけで肥満を解消することは難しいので、摂取カロリーを減らすことはダイエットをするのに必要不可欠といえるかと思います。その摂取カロリーを減らすための方法をいくつかご紹介していきます。
ドッグフードの選択
総合栄養食の中で低カロリー、もしくは肥満用のフードがありますので、適正体重に戻るまではそちらを与えて頂いて、適正体重に戻ったあと通常の成犬用フードを与えて頂ければと思います。
ストレスなくダイエットするためにはある程度の満腹感を持続させる必要がありますが、繊維質が多いフードは満腹感が持続するため、高繊維質のフードがお勧めです。
ずっと肥満用フードを与え続けることはあまりオススメできません。運動をしっかりして、通常のフードを与えることで、健康な体を作ることを続けていけば、自然と肥満になりにくい体が作られていきます。
間食を抑える・変更する
おやつなどの間食を与えることを控えたり、低カロリーのものに変更してあげることで摂取カロリーを抑えます。
一日に与える量を分ける
一度に1日分を与えるよりも、分けて与えたほうが満腹感が持続し、太りにくくなります。少なくても2回に分けて、可能であれば更に分けて与えることをオススメ致します。
いつでも食べれる状態(自由給与法)は、肥満を解消するためには適切な環境とはいえません。犬は野生下でいつ獲物にありつけるか分からないという環境に適応するために食いだめする習性を持っていると言われています。食いだめし続けてしまう環境では肥満になる可能性が高くなりますので、適切な給与量を与えることが重要です。
時間をかけて食べれるようにする
時間をかけて餌を食べられる形状の食器に変更することで、ゆっくり食べて満腹感を持続させることへ繋がると言われています。
ダイエットを成功させるためには
ダイエットを成功させ肥満を解消するためには、飼い主様を始めとする全てのご家族様の心構えが一番必要です。家族のうち1人が気をつけていても、他の人が余計におやつを与えてしまっていたりする場合には改善されません。肥満は、犬にとって良くないことを共通認識として持ち、計画的に肥満解消プログラムを行えば必ず成功します。今年こそ!肥満を克服して、健康的な生活を実現しましょう。